ベン・ウィショーの舞台を観に、ロンドンへ - Part 1
Julius Caesar at Bridge Theatre ■ March/2018


Julius Caesar at Bridge Theatre / Bridge Theatreのサイトより

昨年秋、ロンドンの観光名所タワー・ブリッジ(Tower Bridge)のたもとにオープンした、ナショナル・シアター系列の劇場ブリッジ・シアター(Bridge Theatre)。そのこけら落とし第2弾公演「ジュリアス・シーザー(Julius Caesar)」(by ウィリアム・シェイクスピア)にベン・ウィショーが出演!!・・なんて聞いてしまったら、行くしかないでしょ?!


ブリッジ・シアターに行ってきました

でも、この公演が発表になったのは、実際の公演が始まる1年前(苦笑)おまけにチケットも同時に発売(再度苦笑)夏のベン・ウィショーの舞台のチケットがまだ発売になっていないのに(その舞台の話はこちらで→)更にその次のチケットを買えと!?1年後の予定なんて立てられません・・・。

しかし劇場のオフィシャル・サイトを読んでみると、購入したチケットの日程変更ができるだと!?・・・という事は、とりあえずチケットをゲットしておくのもアリ??

今回の舞台は2018年1月から4月までの公演なので、ひとまず3月の各週に分散して、チケットをポチっと・・・しようとすると、その時はまだ50ポンド(約7500円)の会費を払ったメンバーへの優先販売期間中でした。うむむ、これはメンバーになるべきなのか。しかし、優先販売がスタートして既に何日も経っているのに、チケットは全く売れていません。これなら一般販売でも大丈夫かも・・・いやいや!そうやって油断して最前列が無くなったらどうするっ!?後悔先に立たず!金で解決できる事は金で解決しようっ!


入口の巨大なネオンが印象的なブリッジ・シアター

と、メンバー年会費を買物かごに入れて、さあ、次はチケット!と思ったら、次は「The Pits - Promenading」というチケットが売られていて、何だ?このチケットは?

慌てて舞台の紹介文を読むと、今回の舞台では「スタンディングの『The Pits』席の観客は、ローマ市民となる」と書かれていました。つまり、この新しい劇場の1階席を取っ払い、その中心にステージを設置、そしてステージを取り囲むように、スタンディング席と椅子席が配置されるようなのです。シェークスピアのグローブ座みたいな感じ?もしくはプロレス会場??しかし何よりも、どこの席を買うのがベストなの???

やっぱりベン・ウィショーを堪能するなら、近くで観られるスタンディング席かな?でもスタンディング席が25ポンド(約3500円)なのに対して、本来の二階席である「Gallery 1」の最前列は90ポンド(約13500円)。こんなに価格差があるのなら、やっぱりこのGallery 1が良い席という事なの?・・・よしっ!とりあえず両方とも押さえちゃえ!と、それぞれ2公演ずつ購入しました(あああ、またチケットや会費だけで4万円も使っちゃったよ・・・バンドのライブと違って舞台は散財するよ(涙))

と、張り切って購入したけれど、やっぱり1年は長いです。その間に、ロンドンに行ってベン・ウィショーの別の舞台を観て、ベン出演のBBCドラマ「Queers」を観て、(SNSをやってないので)ベンがパートナーのマーク・ブラッドショー氏と製作するというショート・フィルムのクラウド・ファンドに乗り遅れ、そして「パディントン2」も観て、ああ、いつの公演日のチケットを買ったのか忘れちゃいそう(汗)それに、チケットを買ったクレジット・カードが盗難や不正使用で無効になったらどうしよう!と、そんな事まで考えちゃうとドキドキの1年でした。


Julius Caesar / Bridge Theatre サイトより

そして年末になり、ロンドン行きの日程も決まったので、早速チケットの日程変更をオフィシャル・サイトから申し込みました。変更依頼のフォームに希望日と希望席を記入して送信すると、次の日には変更完了の連絡メールが届きました。「イギリスにしては仕事が早いなぁ!」と感心しつつも、手元にあるのが変更後のチケット内容が簡潔に書かれたメールだけなのが、なんとも心細いのです。自分の購入履歴を確認すると、そこもちゃんと変更されていましたが・・・。でももうすぐ公演が始まるっていうのに、1年前に優先販売で買ったのと同じ座席で日程変更できるなんてどういう事??(苦笑)会員販売の意味、全くなし??やっぱりベン・ウィショーは人気ないのか!?

そんな1年を過ごして、ようやく渡英の日が近づいてくると、3月だというのに大寒波がイギリスを襲い、ロンドンまで大雪に見舞われてしまいました。利用するキャセイ・パシフィック航空も香港-ロンドン便が減便運行になったりと、雪が怖いから1月・2月を避けたのに、無駄な努力だった・・・。最高気温は2・3度という寒さで、「こんな寒さの中でベンの出待ちなんてやっていたら、死んじゃうぞ!」なんて、どうでもいい心配で眠れぬ夜を過ごしました。


さすがナショナル・シアター系列の劇場だけあって
あちこちの地下鉄駅にポスターがありました

しかし、出発日には寒波も落ち着いて、到着してみれば「なんだ、フツーのロンドンの寒さだよ。」(苦笑)そしてベンの出待ちで凍死する事もなく、無事に舞台を堪能してきました。(とはいえ、今回の旅行で観たElbowのライブでは、ボーカルのガイ・ガーヴェイが「スタッフのおかげで無事にロンドンまで移動できたよ!」と言っていたので、キャンセルの可能性もあったのかと、今更ながら焦りました。やっぱり雪のイギリスは避けるべきです・・・。)

さて、オープンしてまだ半年のブリッジ・シアターは、真横にタワー・ブリッジ、テムズ川を挟んだ正面にはロンドン塔と、歴史を感じさせる名所と、シティの高層ビル群や、傾きそうなデザインのロンドン市庁舎という現代的な建築物が混じりあう中で、モダンなビルの一階に作られた新劇場です。

ちなみに、この劇場創設を手がけた一人、ニコラス・ハイトナーが今回の舞台演出ですが、ベン・ウィショーにとっての初舞台「His Dark Materials」(2003年)の演出家でもあったので、「久々に彼と一緒に仕事をする」と、ベンはラジオ・インタビューで話していましたよ。

で、ロンドン到着翌日にさっそくその劇場へ。回転ドアから中に入ると、布に包まれた無数のオレンジ色の照明が天井から吊るされた広いロビーがとても幻想的。落ち着いた雰囲気が居心地良くて、カウンターで料理も出しているので、大勢の人が早めに来て、ワイン片手に食事を楽しんでいました。でも、今回の舞台では、そのロビーの一角が臨時のクロークになっていたのです。


こんな雰囲気の中でプレ・シアター・ディナーを

出発前に送られてきた劇場のメールには、「スタンディング席はカバンや上着をすべてクロークに預けるように」と注意書きがありました。それはスタンディング席の観客はローマ市民というエキストラになるから荷物を持っていてはいけないという事??演出が細かいなぁ。そしてその200人のエキストラ(?)の荷物を預かる為に臨時クロークは用意されていたのです。とりあえず財布だけポケットに押し込んで、カメラも入れたバッグをドキドキしながら預けておきました(でも、とても丁寧に取り扱ってくれたので心配無用でしたよ。)

さて、シェイクスピアによる「ジュリアス・シーザー」のストーリーは・・・時は紀元前44年。ローマの権力を一身に集中させたシーザが独裁者となる事を恐れ、ブルータスやキャシアスたち一部の貴族は共謀してシーザーを暗殺。しかし、シーザーにおもねっていた貴族アンソニーは、自分の身を守るために言葉巧みに群衆を煽り、ブルータスたちを反逆者に仕立て上げた。ローマを追われるブルータスたち。軍を上げ、シーザーの甥と共に彼らを追うアンソニー。そしてブルータスたちは徐々に仲間を失っていき、遂にブルータスは自害する。そしてそれはシーザーの甥オクタヴィアス・シーザーによる新たな独裁時代の幕開けでもあった。

当然、今回の舞台は現代劇だと予想していましたが、しかし、開場と同時に張り切ってホールの中へ入ると・・・想像していたよりこじんまりとしたスタンディング席。そしてその片隅にドラムやアンプが置かれた小さなステージがぽつんと。えっ?どういうコト??そこはまるでちょっと広めのライブ・ハウス。おまけに会場の隅っこにはピーナッツや水を売る屋台まであり、「Security」と書かれたベストを着たスタッフが、国旗らしき大旗をもったり、シーザーのTシャツや帽子を売り歩いていました。


開演前はこんな状態だったステージですが・・・

ステージには「Do it !」と書かれたシーザーの弾幕がかけられているけど、これが「ジュリアス・シーザー」の舞台なの??しかし床を見ると、大きな格子状の溝が。そうか、この後で床が上がって舞台になるんだ・・・と、いう事は、どの場所を確保すれば”ベンかぶりつき”なのか、見当もつかない(汗)慌てて入場する必要もなかったです・・・。

なんて、場所決めにモンモンとしていると、まだ観客もまばらなのに(たぶん開演時間前)どこからか現われた4人組がステージに上がり、ライブ演奏が始まりました。しかし、それがあまりに下手くそっ!(苦笑)これは本物のバンドじゃないぞ?俳優なのかな?


今回のパンフやチケットはこんな感じ