BBCドラマ「ロンドン・スパイ」徹底解説!

London Spy - Characters

ダニー(Danny) / ベン・ウィショー(Ben Whishaw)

「あんたが初めて俺を見た時、『大丈夫か?』と聞いたよね。世界でたった一人だけ、どうして俺が全く大丈夫じゃないって分かったのかと思ったよ。」

BBC

クラブ通いをしながらも自分にとっての「たったひとりの人」の存在を信じるロマンチスト。過去には何度も傷つき、ドラッグ中毒になりかけたことも。そしてようやく巡りあったアレックスも全く別の顔を持っていたと知るが、自分の知っているアレックスが本当のアレックスだと信じて真実を探すダニーは、スパイ達の陰謀に巻きまれていく。

こんなキャラクターを作り上げられるのはベン・ウィショー以外に想像できない。神経過敏で、少年っぽく、ぎこちなく、よく喋り、メランコリックで、カリスマ性があり、貧乏で、ロマンチスト、でも”大丈夫”じゃないなんて。
ー ガブリエル・テイト 2015年11月9日 ザ・ガーディアン
「これほど演じたいと熱望した役をやったのは初めてだと思う。」
ベン・ウィショー
「ベン・ウィショーはこのキャラクターのDNAなんだ。」
トム・ロブ・スミス
ー 2015年11月9日 ラジオタイムス インタビュー

ダニーはトム・ロブ・スミスがベン・ウィショーをイメージしながら完成させたキャラクター。そしてこの演技が大絶賛され、BAFTA主演男優賞にノミネートされたベン・ウィショーは1980年生まれの英国俳優です。
映画、ドラマ、舞台で活躍し、ハムレットからボブ・ディラン、ストレートからバイ・セクシャル、ゲイまで演じ、多くの賞でノミネート&受賞してきた英国を代表する実力派。最近の出演作はカンヌ審査員賞受賞作の「ロブスター」、エディ・レッドメイン主演の「リリーのすべて」、そしてピッタリなクマ声で主演(?)の「パディントン」などなど。
そして、これを書いている管理人もこのドラマで初めてベン・ウィショーを知り、あっさり彼にハマってしまい、そのままブロードウェイまで彼の舞台を観に行ってしまいました(苦笑)その時の旅行記はこちら→

アレックス(Alex)/エドワード・ホルクロフト(Edward Holcroft)

「誰かと一緒にここを歩くのはどんな気分なんだろうと思った。」

BBC

投資銀行で働き、生活感のない高級アパートに住むアレックスは、15歳で大学に進んだ数学の天才。「奇人」扱いされるのに疲れ、人との付き合いを絶って生きてきた彼にとってダニーは初めての恋人であり全てだった。しかし突然ダニーの前から姿を消してしまう。そして無口で自分の事を話さなかった彼の本当の姿が明らかになっていく。

先週(第1エピソード)では、ぎこちなく別の世界の人間のようなアレックスに確信が持てなかったが、今では彼の物語に釘付けだ。
ー サリー・ニューオル 2015年11月17日 インディペンデント

アレックスを演じるエドワード・ホルクロフトは1987年生まれの英国俳優。あまりメジャーな俳優ではありませんが、「ロンドン・スパイ」と同時期に放送されていたBBCドラマ「ウルフ・ホール」にも出演。また映画「キングスマン」ではライバル役のチャーリーを演じています。第1エピソードで死んでしまうアレックスは俳優としては損な役回りですが、少しづつ明らかになっていくアレックスに心を奪われ、その後で「キングスマン」を観ると、「あああ、アレックスがこんな嫌なヤツになってるぅぅ」と、衝撃を受ける結果に(苦笑)

スコッティ(Scotti)/ジム・ブロードベント(Jim Broadbent)

「言っておくが、ダニーを傷つけたりしないだろうね?」

BBC

モダニズムな家にひとりで暮らし、エスタブリッシュな生活を送っているが、若くて居場所をなくしていたダニーを親身になって世話をし、セックスとドラッグに浸かっていた彼を立ち直らせた親友であり、彼の保護者的存在。

(BAFTAの)助演賞はジム・ブロードベントに決まりだろう。古きシークレット・サービスの世界の中にいたゲイを体現するスコッティに知的聡明さと傷ついた優しさを加えた。
ー 2015年TOP40ドラマ 2015年12月13日 ザ・ガーディアン
「こんな大人が近くにいてくれる人が羨ましくてしょうがなかった。だから彼は僕のバーションなんだ。」
ー トム・ロブ・スミス インタビュー  2015年11月9日 ザ・ガーディアン

ゲイが抑圧された時代に多くの嘘の中で生きてきたスコッティを演じるジム・ブロードベントは1949年生まれ。アカデミー賞やBAFTAなど多くの賞を受賞し、コミカルな役から悪役まで多彩に演じる重鎮的存在の英国俳優。ベン・ウィショーとは映画「クラウド・アトラス」や「パディントン」でも共演し、彼が尊敬する俳優の一人。最近ではBBCドラマ「戦争と平和」や映画「ブルックリン」にも出演。とにかく多作なので映画やドラマを観ていると「はっ!スコッティの声がする!?」と慌てて画面をよく見ると彼の姿があります。


「これは基本的に人間の不確実性を探るスリラーだ。」
ー トム・ロブ・スミス インタビュー 2015年11月9日 ザ・ガーディアン

賛否両論真っ二つに分かれたドラマ「ロンドン・スパイ」。

批判の多くは、名作サスペンス「チャイルド44」を生み出したトム・ロブ・スミスの脚本!そして「007」出演のベン・ウィショーが主演!ということで、「最高のスパイ・スリラー」をワクワクと期待していた方たちを見事に裏切った作品だったから。そりゃあ、アクションなし、陰謀なし、推理なし、テンポはダルい、画面は暗い、あげくにセクシー・シーンは男同士!!(苦笑)怒りが爆発して当然。

しかし、「スパイ・スリラー」という先入観を捨ててこのドラマを観た時、浮かび上がってくるのは、ロンドンをさまよう孤独な人々の物語。

「スパイ・ドラマ」らしく散りばめられた暗号や謎が解けていく度に失なわれた恋人の本当の姿が明らかになっていくトム・ロブ・スミスのプロットの巧みさ。こんなラブ・ストーリーの描き方があるのと驚かされました。

そして最小限のセリフの隙間を埋めていく絵画のように美しいヤコブ・ヴェルブルゲンの映像。時にはヒッチコック・スリラーのように、時にはデレク・ジャーマンのアート・フィルムのように。

さらに観る者をダニーの感情に引きこんでいくベン・ウィショーの細やかな演技と美しい表情。

そう!ストーリーも何もかも美しいこのドラマに心を奪われた人にとって「ロンドン・スパイ」は珠玉の作品なのです!

どんなドラマなのかと、ついついこのサイトをつい読んでしまった方っ!現在、Netflixで配信されている第1エピソードをぜひご覧くださいっ!このドラマのテンポに耐えられ(苦笑)、そしてラストの10秒に「ハッ」と息を飲んでしまったら、「ロンドン・スパイ」はきっと貴方の「生涯の一本」のドラマになります!


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