THE FUTUREHEADS 2011 UK超マイナー夏フェス巡り(番外編)

 
 
 
  
LATITUDE FESTIVAL 15/JULY/2011 (FRI)    

ザ・フューチャーヘッズを観るためにとんでもなくマイナーなフェスばかりに行ってきましたが、ちゃんとメジャーな「ラティチュード・フェスティバル(LATITUDE FESTIVAL)」にも1日だけですが行ってきましたので、そのお話を少し。

このフェスは、イギリス東部サフォーク(SUFFOLK)にあるヘナム公園(HENHAM PARK)で行われ、「メジャー」といっても今年でまだ6年目の比較的新しいフェスです。そして今年は7月15日(金)から3日間行われ、その初日に行ってきました。

大きな自然公園の中に会場があるため、アクセスはちょっと大変。
まず鉄道駅ディス(DIS)からシャトルバスで1時間強。そして1日券の入場ゲートはそこからさらにミニシャトルに乗り換えなければなりません。その後も林をしばらくテコテコと歩き、駅を出て約2時間でようやく会場の中にたどり着きました。


LATITUDE FESTIVAL

こんなトコで行われるフェスなので、フジ・ロックのようにダダっ広い会場なのかと想像していたら、意外とコンパクトでステージ間の移動は楽チン。それでいて緑の芝におおわれ、湖あり、森あり、羊あり(笑)と、とても自然が豊かなフェスティバルなのです。
そして「IT'S MORE THAN JUST A MUSIC FESTIVAL」と銘打っているフェスなので、コメディや演劇、インディー映画、そして文学の国らしく作家が登場するステージなど、音楽以外のステージもたくさんあって、コンパクトでも中身は盛りだくさん・・・なんて言っても、結局は音楽ステージしか行かないんですけどね(苦笑)

出かけた金曜日は快晴で、まさしくフェス日和。
そんな天気にぴったりだったのが、THE WORD STAGEのオープニング、アヴィ・バッファロー(AVI BUFFALO)でした。

THE WORD STAGEは2番目の大きさの音楽ステージ。アヴィ・バッファローについては彼らの単独ライブの話をこちらで読んでもらうとして、この日は彼らの西海岸っぽさがカラリとした青空の空気にやたらとマッチして気持ち良かったです。

でもボーカルのアヴィ君の小学生のようなキャラはフェスでも相変わらず(苦笑)
このフェスはタイムテーブル厳守のようで、スタッフからわざわざ時間終了を伝えられたのに、ギター・ソロを弾き始めると何もかも忘れちゃうアヴィ君。「こらこら、いい加減にしなさい」とメンバーにベースのネックでツンツンと突かれていました。

そしてその頃、一番大きな野外ステージOBELISK ARENAではエドウィン・コリンズ(EDWYN COLLINS)がライブ中。
このステージは後方に桟敷席もあり、お年寄りから小さな子供までのんびりとライブを楽しんでました。
そんな中でエドウィン・コリンズは車椅子に座った姿(!!)そういえば何年か前に病気で倒れて生死をさまよっているとニュースがありました・・・。正直ライブの出来をウンヌン言えるような状態ではありませんでしたが、それでも音楽がやりたいという情熱はすごいです。でも自分の息子をステージに上げてボーカルをやらせるのはちょっと親バカです(苦笑)

そして次はまたTHE WORD STAGEに戻ってチャペル・クラブ(CHAPEL CLUB)


CHAPEL CLUB at THE WORD STAGE

今年の始めに1STアルバムをリリースしたロンドンのバンドですが、ルックスで勝手にアコースティックなバンドだと思い込んでいたら、これが意外にもWHITE LIESやEDITORS系の音!坊主頭のくせに!?(こらこら)彼らよりちょっとダークな音で、ギターがエコ・バニのような透明感というかギターの絡みが独特でカッコ良かったです。

ところでこのフェスはオジさんやオバさんな年齢の方達がけっこう多い(って、人のコトを言える年齢でもありませんが(苦笑))
しかも「昔はね〜グラストンベリー・フェスとか行っていたんだけどさぁ。最近はチケットも取れないからこのフェスに来てんだ。」なんて言いそうな年期の入った雰囲気。こんな人達がインディー系バンドの時に一番前を陣取っていたりするのです。

それにこのフェスはラウド系バンドが出演しないので、全体的にすごくのんびりした雰囲気。


ISOBEL CAMPBELL& MARK LANEGAN
at OBELISK ARENA

でもOBELISK ARENAにグランジ界のコワ面が登場!・・・と言ってもイソベル・キャンベル&マーク・ラネガン(ISOBEL CAMPBELL&MARK LANEGAN)ですが。

元BELLE & SEBASTIANのイソベルとグランジ・バンドのSCREAMING TREESのマークという美女と野獣の組み合わせ・・・にしては、イソベルがちょっとおばさん体型ではありますが(苦笑)イソベルのかすれるような歌声とラネガンの地を這うようなボーカル、この対照的なツイン・ボーカルが生み出すカントリー調のスロー・テンポな曲はCDで聴くより良かったです。でもメイン・ステージ向きではなかったけどね。ほとんど盛り上がってませんでした(苦笑)

そしてちょっと遅めのお昼は、3番目の大きさのオープン・ステージ、LAKE STAGEでジョニー(JONNY)を観ながら。TEENAGE FAN CLUBとGORKY ZYGOTIC MYNCIのメンバーによるバンドだそうですが・・・あまり印象に残ってません(苦笑)

ところでこのフェスティバルのパンフレットは、なんと300ページ以上もあるとんでもない厚さのガイドブック!なにしろ3日間の全てのステージの出演者を紹介していますから(苦笑)
タイムテーブルがこれにしか載っていないので買わなきゃしょうがないのですが、「フェスでこんな荷物になるモンを売るなっ!!」と最初は思いました。ところがA5サイズで意外とコンパクト。ペーパーバックを1冊持っているぐらいの感じでバッグに入れていてもかさばらないので、実はすごくフェス向きなパンフだったのです。
日本では薄くても大きいパンフが主流だけど、このパンフを見習ってほしいなぁ。

で、このパンフの紹介で気になったバンド。それがクロコダイルズ(CROCODILES)でした。

湖の橋を渡った林の中の小さなテント・ステージがSUNRISE ARENA。ここに出演したクロコダイルズは、サンディエゴのパンク・バンド、PLOT TO BLOW UP THE EIFFEL TOWER(エッフェル塔爆破計画!?)とSOME GIRLSのメンバーのバンドで・・・でもそんな前身バンド、知らない〜(苦笑)


CROCODILES at SUNRISE ARENA

最初の2、3曲は「なんだ、このクソバンド!?」というくらい演奏ボロボロでしたが、勢いに乗ってきたらこれがカッコ良い〜!安っぽいSPIRITUALIZEDがガレージ・パンクをやっているというか、なんとも言えないB級なパンクがたまらなくカッコ良い〜っ!

そしてこの時間になると10代のお客さんが増えていて、ツバをはきまくるコイツらに挑発されたのかステージ前がモッシュ状態の大騒ぎ。いや〜盛り上がってました。で、これがこのフェスで観た唯一のモッシュでした(笑)

しかもゴミ拾いのボランティア達までそのモッシュの中で大騒ぎ。
このフェスでは10代の子が大勢ゴミ拾いや会場案内などのボランティアをやっていました。日本ならボランティアが仕事もせずライブで大暴れなんて怒られそうですが、ここではそんな固いコトは言われないようで、仕事もするけどライブも楽しんでました。でも、チケットが買えない子供達でもこうやってフェスに参加できるってのは良いアイデアだよね(ちなみにゲート間のミニシャトルも募金集めのためにオジさんボランティア達が運営してるんですよ。)

で、ともかくクロコダイルズは良いです〜!でもライブの出来不出来は激しそう(苦笑)

そして次にこのステージに登場したのはブライトンの3人組バンド、エスベン&ザ・ウイッチ(ESBEN & THE WITCH)です。
先頃リリースされた1stアルバムはSIOUXSIE & THE BANSHEESのようなゴシックな世界でしたが、ライブでは今風なポスト・ロックっぽさもあって良かったです。
もっとゴツいおネエちゃんを想像してたのにボーカルはすっごい華奢で小柄な女の子。でもスティックが吹っ飛ぶほどの勢いでドラムを叩きまくってました。ダンナはギターの9:1分けの髪型が海原はるか・かなたのようだとツボにはまったようです。


池のほとりにいるピンクの物体はカラフルに色づけされた羊たち

会場に少しずつ夕暮れの空気が流れはじめた頃、LAKE STAGEに登場したのは、アヴィ・バッファローの単独ライブでもサポートをつとめていたアドミラル・ファロー(ADMIRAL FALLOW)です。
なので、彼らについてもこちらのロンドンでの話を読んでもらうとして、この日は時間が押していたのか20分程のステージとなってしまい、ちょっと残念。しかし高校生くらいの子達が彼らの曲を大合唱していてビックリ!渋いなぁ。

そしてLAKE STAGEのトリはダッチ・アンクルズ(DUTCH UNCLES)!!

昨年のザ・フューチャーヘッズのUKツアーでサポートをつとめたマンチェスターのバンドで、ちょっとヒネクレたポスト・パンクな音ですごく良いライブを見せてくれました(その時の話しはこちらで。)先頃リリースされた2NDアルバムでは(イギリスでは1STアルバムとなりますが)ピアノやストリングスをフューチャーした凝った音に変化してたので、ライブではどんな感じなのか楽しみだったんですよぉ。

しかも今回はヘッドライナーなんですよ!?翌日に会ったザ・フューチャーヘッズのバリーも
「えっ!彼らがヘッド・ライナーだったの!?小さなステージとしてもそれはスゴイ事だよっ!」
と、とても喜んでいたので、やっぱり彼らにとって、これは大出世なのか?!
でも同じ時間にTHE WORD STAGEで大人気のTHE VACCINESが出演したので、彼らのライブはちょっと観客が少なくなってしまって残念。

ともかく1年振りのダッチ・アンクルズは、おそらくフェス向けの特別なメンバーだと思いますが、パーカッションやバイオリンが参加。その上、ひげもじゃになったボーカルのダンカンが半分くらいの曲でキーボードを弾いて、これまでのパンクっぽい音の緊張感やヒネクレ感はそのままに、THE SPARKSみたいなゴージャス感がプラスされてました。そしてダンカンのヘンテコなダンスも健在。
うん、うん、やっぱり良いバンドです!

だけど、ギターの子のファッション・・・Ray Banなサングラス、ベースボール・キャップ、色落ちしたジーンズ・・・なんなんだ〜この70年代ダサダサなファッションはぁ(笑)おまけにTEARS FOR FEARSの曲までカバーしてさぁ・・・あんた達が20歳そこそこってウソだろっ!?(笑)


DUTCH UNCLES at LAKE STAGE

と、こんな感じで初のLATITUDE FESTIVALを満喫してきました。

この後にもTHE HORRORSのボーカルの別ユニット、CAT'S EYESや、今イギリスで大人気のBOMBAY BICYCLE CLUBなど、まだまだ見たいバンドがありましたが、メイン・ステージのヘッドライナー、THE NATIONALSを聴きながら会場を後にしました。

私たちはインディー系バンドを中心に観ていましたが、他にもロカビリーの女王WANDA JACKSON、イギリスの人気歌手PALOMA FAITH、KT TUNSTALLなどなど、メジャー&マイナー取り混ぜたフェスで、(おそらく)観客が一番少ない金曜日、しかもこの日だけ好天に恵まれたというラッキーもありましたが、年齢層も広く、自然に囲まれてとてものんびりした雰囲気の中で音楽が楽しめる良いフェスティバルでしたよ。


ただしこのフェスに行かれる場合は以下のことに気をつけてください!

まず、日帰りでヘッドライナーまで観る場合はあらかじめ帰りの手段を決めておいて下さいね。
というのも、このフェスでは各ステージのヘッドライナーが終わる時間には、駅へのシャトルバスが終了しているので、それ以降はタクシーなどを利用するしかありません。

これには驚きましたよぉ。
会場までのルートやノリッジ(NORWICH)までの”鉄道”の時間を調べ、
「よし、これならダッチ・アンクルズまで観られるぞ。」
と気楽に考えチケットを購入していたら、旅行出発前にシャトルバスの時間を確認して 「うそっ・・・」と絶句しました。
シャトルはロンドン行きの鉄道の終了時間に合わせて運行しているそうですが、でもノリッジへの鉄道ならもっと遅くまで動いているのに(涙)

なのでオフィシャル・サイトのお勧めに従って、私達はタクシーを予約しました。
オフィシャルで紹介されているタクシー会社にはフェス会場の地図が配られているそうで、その中のENVIRO TAXIに電話したところ、スムーズに予約ができました。ノリッジのホテルまで1時間強で、料金は40ポンド(約5300円)+チップでした(料金は時間や曜日で違うかもしれませんので、予約の時に確認してください。)電話受付の方も親切で、ドライバーも良い人でしたよ。


森の中のSUNRISE ARENA

で、もしタクシーを頼むなら待ち合わせ時間は余裕をもっておくと良いです。
というのも、メイン・ゲート側をピックアップ場所に指定された場合、そちらへ行くミニシャトルの本数が少ないので(20分に1本程度らしいです)音楽のステージのあたりから1時間ほどかかってしまいます。
オフィシャルに「ゲート間を歩くのは危険」とあるように、街灯もない森の中の国道なので、夜に歩いていたらきっと車にはねられます(苦笑)キャンプ場を横切って行くのも道に迷いそうですし・・・。時間がかかってもシャトル利用が無難だと思います。
あと、ピックアップ直前に確認の電話をしたいと言われたので、海外で使える携帯を持っていると良いかも。

タクシー乗り場がRED GATEにありますが、あまり人気のない林の中にありますし、タクシーが来るのを待たなければならないような状態だったので、当てもなく待つぐらいならば予約した方が安心だと思いますよ。遠距離は断られるかもしれませんしね・・・。

タクシー以外としては、レンタカーで行く、1日券専用のキャンプサイトにテントを張る、またはSOUTHWOLDという街へのシャトルは11時頃まであるようなので、それを使ってSOUTHWOLDのホテルに泊まる、などがありそうです。
ともかく1日券で遅くまでこのフェスを楽しみたい時は、事前にオフィシャル・サイトをしっかり読んで、帰りの足を確保しておいてくださいね(交通機関を使うなら、ルートだけでなく時間も調べて計画を立ててください。)

そしてもうひとつ。
このフェスは自然が豊かなところが良いのですが、反面、人の目が届かない森などが多いため、過去に何度かレイプ事件が発生しています。
フェスだからどこでも人がたくさんいると思いがちですが、ミニシャトルの乗り場や駐車場へは森の中を通るので、時間によっては全く人気がありません。キャンプ場への道に迷った女性が森に連れ込まれ・・・ということもあったようです。
なので、このフェスでは暗くなってからの女性の単独行動には充分に用心してください!