「アラビアのロレンス」を巡る旅 in UK/2006年2月

2006年2月20日/クラウズ・ヒルにGO !!(その2)

そして20日。朝6時にホテルを出てロンドンの南東にあるウォータールー駅に向かいました。しかし、空はまだ真っ暗、小雨も振って寒いのなんの。駅に着き、熱い紅茶とチーズのホットサンドを買ってサザンプトン行きの列車に乗りました。
予定通り9時にサザンプトンの駅に到着し、時間は余裕と思っていたら、駅からホテル、そしてレンタカーの営業所の間に意外と距離があって、営業所で車の手続きを終えた頃には10時半になっていました。

やばいっ!クラウズ・ヒルまでは1時間半程度かかるはず!でもまずは道を聞かないと!ここのレンタカー会社のサイトに「目的地への地図は営業所がすぐにプリントアウトいたします」と書いてあったから何も準備してこなかったぞっ!

「あの〜ボヴィントン基地に行きたいんですけど」
と言うと、受付の2人は
「え?ボヴィントン基地?それ、どこ?」「知らないわ」
おいおい・・。

「ウールという駅の近くなんだけど」
「ウール?プール駅じゃないの?」
いや、プール駅はその手前の大きい駅らしいけど違うのよ!
「プールじゃなくてウール!」
「知らないなぁ〜」 おいおい〜っ!!

すると一人が「ちょっと待ってて。地図を持ってくるわ」と言って奥に向かったので、「そうそう、最初から地図を出してよぉ」なんて思っていたら、持ってきた地図にはイギリスの半分が載っていました。
あのぉ、これ、ロンドンまで載ってるんですけど・・・・(涙)

「ほら、プール駅はここ」
と見せてもらうと、すぐその横にウェアハムの名前がありました。そう!そこは「横たわるロレンス像」のある教会の町です。クラウズ・ヒルはその近くのはず!
「ここ!ここに行きたいの!」
「だったらA31号線だからそこまでの道を書いてあげる。」
あ〜、よかった、なんとか行けそうだと、ホッとして渡されたメモを見ると、道順が文章で書いてある・・・。
「最初の信号を右に曲り、ふたつめの信号を右」なんて英文を読みながら運転しろと?私の英語力はさっきまでの会話で分かっているだろぉ(涙)フレンドリーなスタッフ達なんだけどねぇ。

ともかく時間がないので、その広範囲な地図(必要なのはほんの5cm四方くらい(苦笑))とメモをもって、用意してもらった車に向かいました。するとその車は「うげっ!ヒュンダイ!!」たぶん生涯で最初で最後のヒュンダイ運転だな。

助手席に荷物とコートを放り込み、運転席に座ると、そうだ!忘れてた!イギリスはほとんどがマニュアル車だったんだぁ(汗)
免許取り立ての頃はマニュアルも運転したけど、う〜すっかり忘れちゃったよぉと、エンジンをかけてクラッチをはなした瞬間、思いっきりエンスト。

慣らし運転なんてしている時間はないので、とにかく走り始めました。え〜い、どうにでもなれ!でもブレーキを踏む時はクラッチも踏まなきゃいけないんだっけ??ロレンス、頼む〜無事にクラウズ・ヒルに着けますようにぃ〜!!(って、事故死した人間に頼むのもいかがなものか?)

どこをどう走っているのかも分からぬまま、なんとかA31号に乗りました。

英国の道には交差点の代わりに「ラウンドアバウト」という環状の道があって、あちこちからの道が合流し、その環状の中を同じ方向に回りながら目的の方角の道へ出て行きます。
信号がいらない利点があるのですが、なにしろ初めての人間にはビミョーなルールがよく分からない。時にはクラクションを鳴らされ、そしてラウンドアバウトに入るため減速をすればエンストを起こす。もう全身冷や汗モノです。
ギヤもどこに入っているんだか、入ってないんだか。景色を楽しむ余裕なんてなくて、無我夢中で道路案内と時計を見ながら突っ走りました。

ひたすらA31を走っていくと、道路標識に「プール」の文字が!そしてさらに走ると今度は「ウェアハム」が!希望の光が見えて来たぁ!ありがとう、ロレンスぅ。
いつ高速を降りたのかも分からないまま田舎道を走っていて、「これでいいのか?このままどこかの町に入り込んじゃったらどうしよう!」と焦っていると「ウール」の名前が表れた!やった〜!

遂にウール駅に到着しました!しかし、確かクラウズ・ヒルは方角的に駅の反対側のはずだ。時計を見るとすでに11時45分!悩んでいるヒマはない。ガソリンスタンドで道を聞いて戻ると、反対側からは巨大な「ボヴィントン・キャンプ」の案内表示がありました。

広くて真っ直ぐに整備された道を走っていくと、巨大なスーパーや住宅地がありました。なんだか想像してたのと違うなぁ。きっと基地に勤務する人たちの住宅地なんだろうな。
すぐに右手に基地が見え、おまけに戦車が前を走ってる!
さらに右手には荒れ地のような戦車演習場があり、広大な自然と軍隊の殺伐さが不気味だ。

でも、なんでこんなにこの道がきれいなんだろう?
確かこの道は起伏があって、そのためロレンスは前を走っていた自転車に直前まで気づかなかったと言われているのに、その起伏が全然ない。
後で聞いた話しですが、第二次世界大戦の時にボヴィントンに駐屯した米軍が、戦車が走りやすいようにこの道を全部潰して整備してしまったんだそうです。だから今のクラウズ・ヒルへの道にはロレンスがいた頃の面影はかけらもない。心底腹が立ったぞ!なんでも壊しやがるな、アメリカはよぉ!!

ともかく、その道を走っていくと、段々と緑が多くなり、その中に小さな白い家が見えました。これがクラウズ・ヒル!?
すると年配の男性が門を開けて待っていてくれました。無事、着いたぁ!!